加筆修正中

相方さがし

 我が家の型紙の中には相方が見当たらないものが246枚存在する。どのような経緯でこのようになってしまったのかは分からないが、本来いるべき相方がいないということは何とも寂しいものである。伊勢型紙は限られた地域の限られた業者(型商)によって生産され、それぞれの業者固有の販路によって全国に流通していた。そしてその製造方法は、複数の地紙を重ねて彫り、同一の型紙を一度に複数作り上げるというやり方である。よって同一の型紙は複数存在するはずである。製造されてから100年以上経過した現在、相方と同一のものの存在、行方など全く見当もつかないのだが、どこかにいるのではという思いはぬぐい去れない。九州という土地、そしてシーボルトなどが膨大な数の型紙を日本から持ち出したことなどを考えると、ひょっとしてヨーロッパのどこかに、とも思うのである。ここにいくつかの型紙を「尋ね人」ならぬ「尋ね型紙」として提示する。古物商、そして昨今ではインターネットオークションなどで素性も分からぬままばらばらに散っていく型紙だが、一組でも多くの型紙が完全なる形となることを願う。

 重星のあるものはすべて複数型と判断したのだが、相方なしとしたものの中には、単独では成立しえないものと、単独でも成立しうるものの両方がある。地白や鳴海紺型などの場合に一枚でも欠けていれば、文様として成立していないことが比較的わかりやすい。しかし相方が存在しなくても単独で成立するものもある。他の文様が入り込むスペースをとっているわけでもなく、単独で十分成立するにもかかわらず重星がある。こういった場合、高砂染のように文様が重なることを前提としていたり、一方を伏型としていたりすることなどが考えられるが、はっきりとしたことは分からない。いずれにせよ、意味のない穴を文様の中央部にあけることはありえないであろうし、一般的に重星が打たれるべき所に穴があけられていることを考えると、複数型と判断すべきだと考える。

尋ね型紙

地白 229
鳴海紺型  
その他