これは比較的単純な構成となっている。千鳥の輪郭を一枚で彫り上げ、その内側を彩色している。輪郭の吊りは残されたままになっており、他の型紙を使って消そうとはなされていない。あえて消さずとも文様が破綻せず、むしろ吊りがあることによってアクセントとなり、良い効果が現れているからであろうか。
合成画像は防染を前提として作成した。この型紙を使い防染によって染色する場合、一枚を型付けし浸染、そしてもう一枚を型付けし浸染するという方法をとっているはずである。もし二枚を型付けし終わってから浸染したとすると、千鳥の目の部分などがつぶれてしまい現れないことになってしまう。合成画像1は完全に同一色で染色すると仮定した。合成画像2はNo.512をかなり薄く、No.513を濃くしてみた。かなり印象が違ったものになっている。
防染だけを前提としてもここにあげた二例以外に様々なパターンが考えられる。また、捺染を用いればさらにバリエーションが広がる。捺染、防染、型付けのタイミング、順序、色合い、濃淡などを様々に組み合わせることができるだろう。
No.512 型紙

No.513 型紙

No.512 糊

No.513 糊

No.512-513 合成画像1

No.512-513 合成画像2
